矯正治療について

マウスピース型矯正装置(インビザライン)

患者様一人ひとりの症状に合わせて製作した、取り外しのできる厚さ0.5mmの透明度が高い矯正用マウスピースを約10日ごとに新しいものに取り替えながら歯並びを治していく治療法です(装置のメーカーにより装着時間や交換頻度は異なります)。マウスピースの枚数は歯並びの状態によって異なります。

マウスピース型矯正装置のメリット

メリット01審美性に優れ目立ちません。

ブラケットやワイヤーを歯の表面につけないので、矯正治療していることを他人に気付かれたくない方、装置が見えるのが職業柄困る方、装置がずっと歯についた状態に抵抗がある方も矯正治療に踏み出すことができるかもしれません。

メリット02取り外しが可能なので、衛生的です。

ブラケットをつけた矯正治療中は、ブラケットを外す原因になる食べ物(粘着性の高いものや大きく硬いもの)を控えなければなりませんが、マウスピース型矯正装置による治療では食事の時に装置を外すため、制限なく何でも食べることができます。

さらに、ブラケットをつけた矯正治療ではブラケットの周りやワイヤーの下が磨き残しのため虫歯になりやすいリスクがありますが、マウスピース型矯正装置による治療では装置を外して歯磨きやデンタルフロスも使えます。

金具を使わないため、口腔内を傷つける心配がなく、アレルギーの心配もありません。
通常の矯正治療ではブラケットやワイヤーに金属を使ってありますが、マウスピース型矯正装置はプラスチィック製なので金属アレルギーの方にも心配なく使えます。

マウスピース型矯正装置のデメリット

デメリット01取り外しが可能なため装着忘れ等無いよう自己管理が必要です。

マウスピース型矯正装置による治療ではマウスピースを1日20時間以上装着する必要があります。歯の移動シュミレートして作製されたマウスピースを取り替えていきながら歯を動かすので、食事と歯磨きの時以外はしっかりフィットさせて装着する必要があります。使用時間を守らなかったり不規則な使用をするとワンステージでのアライナーの小さなズレが積み重なって、計画通りに歯が動かず治療期間が延びることになります。

デメリット02取り外して歯磨きできるとはいえ、口腔衛生には注意が必要です。

マウスピース型矯正装置による治療では長時間、歯全体をマウスピースが覆っているため唾液による歯の自浄作用や歯の再石灰化が起こりにくくなるので、歯磨きをしっかり行いマウスピースも清潔にして使用する必要があります。

デメリット03重度の症状の場合には適応できません。

歯を大きく移動させる必要があるケースや予想外の動き方をした場合には、補助的な処置が必要となる場合があります。マウスピース型矯正装置による治療は取り組みやすいと考えられがちですが、総合的な矯正治療の知識や経験が必要となります。

デメリット04歯の表面にアタッチメントをつけて治療します。

治療の進行状況によって個々の歯に米粒状のプラスティックの突起物を接着させる必要があります(歯並びの状態によって突起物の形や接着させる場所は異なります)。マウスピースが歯をしっかりとつかんで、最適に歯を動かすためのものです。目立つものではありませんが、最初のうちは多少違和感があります。

マウスピース型矯正装置による治療を行う前に知っておきたい基礎知識

01適応範囲

マウスピース型矯正装置による治療と従来のブラケット矯正を比較したとき、マウスピース型矯正装置による治療はさまざまなメリットがあります。見た目、取り外しなど、まさに夢のような矯正治療です。しかし、最大のデメリットとして、適応範囲が狭いことが挙げられます。つまり、マウスピース型矯正装置による治療を“行える人”と“行えない人”がいます。

その1つ理由が「トルク」です。

矯正治療では、「トルク」と呼ばれる工程を行います。歯の根に力を加え、正しい歯軸の向きに変えたりします。従来のブラケット矯正と異なり、マウスピース型矯正装置による治療ではトルクを行うのが難しい、または、できない場合があります。結果、治療方針として、トルクを必要とする患者様の場合、マウスピース型矯正装置による治療が行えません。

02仕上がり

私たちのような矯正専門医が皆さまに提供する矯正治療は、(1)審美的にも(2)機能的にも優れた歯並びです。

審美的な基準

  • ①上下の真ん中の線があっている
  • ②噛んだときに上の歯全体が下の歯全体を適度に覆っている
  • ③上下の歯は1歯対2歯で互い違いに噛み合っている
  • ④でこぼこや隙間がない

機能的な基準

  • ⑤上下の歯が噛んだ時にあたっている(隙間がない)
  • ⑥上下の歯が噛んだ時、顎のずれをおこさない

人によって顎の大きさや形、歯の大きさや形、植立状態は異なります。
矯正治療ではその人にとって最も理想的な噛み合わせ(個性正常咬合)を目指します。
矯正治療は、高額な治療です。より美しい歯並びを。また、きれいになったけど、食事がしづらくなってしまった。ということのないようにしたいです。

マウスピース型矯正装置による治療は、従来のブラケット矯正に比べて、これらの基準を満たすことが難しい方法です。前項の 「適応範囲」でも一例を紹介しましたが、マウスピース型矯正装置による治療は歯を動かす方法に制限があります。

結果、仕上がりがブラケット矯正に比べて、良くないことが多いです。

03リカバリー

「適応範囲」や「仕上がり」の項目でも紹介しましたが、マウスピース型矯正装置による治療には限界があります。しかし、一方で、患者さんからすると大きなメリットを享受できるのがマウスピース型矯正装置による治療です。

ではいったい、どうしたら良いのでしょうか?

リカバリーという方法があります。つまり、ブラケット矯正との併用方法です。

このように、一定期間のみブラケット矯正を行います。そうすることで、マウスピース型矯正装置による治療が適応でない方でも、マウスピース型矯正装置による治療を行うことが可能になります。

「どうしても、、、マウスピース型矯正装置による治療で矯正治療を行いたい、、、」という希望の患者さんにおいて、クリニック側として、「でも、貴方の場合はマウスピース型矯正装置による治療ができません」という場合、このような解決策でマウスピース型矯正装置による治療をスタートする方が多くいらっしゃいます。

また、マウスピース型矯正装置による治療は、まだまだ未完成の治療法です。ブラケット矯正で矯正治療を行うことができれば、後々、マウスピース型矯正装置による治療でうまく治療が進まなくても、リカバリーすることが可能です。マウスピース型矯正装置による治療を希望の方は、ブラケット矯正ができる歯科医院で矯正治療を行うことは万が一のときのことを考え、大切なポイントになります。